プラス思考は疲労予防の最前線
リスク
2.78倍

プラス思考は疲労予防の最前線

ものごとを肯定的に考えるようにしていない人は、疲れが取れにくくなるリスクが2.78倍になります。

解説

慢性的な疲労に隠れている病気

疲労が生じる原因は、身体的なものと精神的なものと2つに分けられます。身体的な原因から生じる疲労とは、運動によって筋肉や心肺機能がふだんとは違う状態になっていること指します。ぐっすり眠るなど、身体を休めることで疲労は回復します。

一方で、精神的な原因から生じる疲労とは、日常的なストレスによって免疫機能や自律神経、内分泌、脳機能などが異常な状態に陥っていることを指します。もし、身体の中にウイルスが隠れていれば、感染症を発症しやすくなります。また、最近の研究で、ある種のウイルスはうつ病に関係している可能性があることがわかってきており、疲労によってウイルスが活性化されるとうつ状態になりやすくなることも考えられています。さらに、夜眠れないなど、ストレスのために身体を休められないこともあります。

ウイルス性の病気が隠れていると、身体を休めるだけでは十分に疲れやだるさが回復せず、症状が長く続いてしまいます。病院を受診しても単なる疲労と判断され、医学的な診断がされない場合もあるので、自分が感じている微熱やのどの痛みといった症状や、症状があらわれている期間などをしっかりと把握して医師に伝える必要があります。

疲労の原因が精神的なものであるというと、職場からは「根性が足りない」とみられてしまい、休むことを許されない場合があるかもしれません。劣悪な労働環境を強いる、いわゆる“ブラック企業”が多く存在すると取り上げられることもあり、疲労についての理解ときちんとした対応が社会全体に浸透しているとはまだまだいえない状況です。

本来ならば職場の理解が得られ、休養を取ることができるのが理想ですが、そうでない場合には自分で健康管理をするしか方法はありません。治療は医療機関で行うとして、慢性的な疲労状態にならないために、個人でもできる取り組みを1つ紹介しましょう。

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疲労予防に「とにかくプラス思考」

慢性的な疲労を予防するには、「プラス思考」を常に心がけることです。ストレスが一度溜まってしまうと、その後はストレスを減らすために時間がかかってしまうため、ストレスが一杯に溜まる前に対策しておく必要があります。

「ここで失敗したおかげで次は成功できる」、「周りが注意してくれることは自分の成長につながる」など、プラス思考で不必要なストレスを受け流していきましょう。ストレスを溜めない思考回路を作ることができれば、意欲の低下、疲労の悪化、免疫力の低下の予防となり、疲れにくい体質になります。

疲労回復のために休むことを「静」の対策とするなら、積極的にプラス思考を心がけて行動することは「動」の疲労予防対策といえます。それだけでなく、よく笑うことや、良質な睡眠を取ること、栄養バランスの良い食事をすること、適度な運動をして休むことも生活の中に取り入れ、精神的な疲労を予防しましょう。

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<参考文献>
■保健同人社
『暮しと健康 2010年5月号』

■日本臨床
『慢性疲労症候群の疫学,病態,診断基準(特集 慢性疲労症候群--基礎・臨床研究の最新動向)』

■疲労科学研究所
『疲労について』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

ものごとを肯定的に考えるようにしていない人は、疲れが取れにくくなるリスクが2.78倍になります。

A: ものごとを肯定的に考えるようにしていますか?
B: 疲れが取れにくいほうですか?

A
はい いいえ
65.4%
202人
34.6%
107人
B
はい いいえ はい いいえ
31.39%
97人
33.98%
105人
24.92%
77人
9.71%
30人
Z検定値 4.04
オッズ比 2.78
信頼度 99.9%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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