解説
はちみつが風邪の予防に効く理由
身体に良いイメージのはちみつ。はちみつを入れた温かい飲み物も、風邪をひいたときの定番ですね。では、はちみつはどうして身体にいいのでしょうか?まず、はちみつが風邪をどのように予防してくれるのか見てみましょう。
まず、注目すべきははちみつの殺菌力です。はちみつは糖分が非常に多いので、水分を吸う力が強く、細菌が付着してもその細菌が活動するための水分を奪うため、ほとんどの細菌は、はちみつのなかでは生きられないのです。
ただし、ボツリヌス菌の一部は、固い殻で守られている状態となっているため、はちみつのなかでも生き残ることができます。免疫が不十分な1歳未満の乳児では“乳児ボツリヌス症”を発症することがあるので、乳幼児にははちみつを与えないようにしましょう。
また、はちみつは、消毒液として有名な「オキシドール」に含まれている「過酸化水素」を作り出しています。海外では、はちみつを傷口に塗り、細菌感染を予防する治療もあります。
そして、はちみつには“サリチル酸”が含まれています。サリチル酸には、解熱・鎮痛効果があり、病院で処方される解熱剤だけでなく、市販の解熱剤にも使用されている成分です。はちみつは、ごく少量のサリチル酸を含んでいます。薬に比べれば微々たる量ですが、風邪のひき初めにはのどの炎症を抑えたり、痛みを和らげてくれる可能性があります。
さらに、はちみつには腸の中の環境を改善する効果があります。実は、免疫を司る細胞の7割は小腸に存在しています。つまり、腸は免疫の機能を守る大切な臓器というわけです。ですから、腸内環境を整えることは免疫力を上げることにもつながるのです。はちみつは悪玉菌を抑えて善玉菌を増やすことにより腸内環境を改善してくれます。

風邪をひいた後でもはちみつは効果あり!
風邪をひいてしまってからも、はちみつは効果を発揮します。風邪のときには、ウイルスと闘うためにエネルギーが必要です。はちみつの糖分はすぐにエネルギーとして利用できるため、風邪をひいて弱った身体に負担をかけずに、エネルギーを補給できるのです。
それだけでなく、はちみつには粘膜を保護する作用があります。風邪をひいて荒れてしまったのどの粘膜を、はちみつが守ってくれるのですね。はちみつがのどの粘膜を守ることによって、のどの炎症が進むのを予防するほかに、荒れたのどから別のウイルスや細菌が侵入するのを防いでくれるので、二次感染とよばれるさらなる感染をブロックしてくれるのです。
はちみつにはこんなにいろいろな効果があるのです。風邪対策だけでなく、風邪をひいた後にも大活躍するはちみつ。普段から取り入れてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
■菌活・腸活ラボ
『2.腸内環境の悪化が招く症状とは?』
■調理科学
『ハチミツの科学』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、はちみつを食べていない人は、半年に1回以上、風邪をひきやすくなるリスクが1.69倍になります。
A: 週に1回以上、はちみつを食べていますか?
B: 半年に1回以上、風邪をひきますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
20.4%
273人 |
79.6%
1066人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
6.12%
82人 |
14.26%
191人 |
33.46%
448人 |
46.15%
618人 |
Z検定値 | 3.61 |
---|---|
オッズ比 | 1.69 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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