解説
薬に頼らない便秘の改善方法
誰もが経験したことがある腹痛。しかし、すべての腹痛を「たかがお腹の痛み」と侮ってはいけません。腹痛は、さまざまな病気や消化器官の異常の現れである場合があるのです。また、病気や消化器官異常の種類や重症度によっては、腹痛の強さや種類も異なります。激しい腹痛で病院を受診したところ、「緊急入院が必要」と診断されることもあるので、ただの腹痛と軽く考えず、注意しておきたいですね。
一方、病気や消化器官の異常がないにもかかわらず、お腹に鈍い痛みを感じるという人の多くは、下痢や便秘といった悩みを抱えていることがあります。便秘の問題は、美容やダイエットの敵であると考えている女性も多いでしょう。便秘で悩んでいて、「どうすれば便秘を解消できるだろう、万能薬はないのかな?」と考えたこともあるかもしれませんね。
便秘になると、つい医療機関や薬局に行って薬で対処する方法を考えてしまいがちです。確かに、薬で便秘を解消するのはとても楽で便利ですね。しかし、薬には副作用が必ず存在します。薬の副作用に抵抗がある人、便秘にならないカラダ作りをしたい人は、生活習慣を改善して自力で便秘を治しましょう。

朝食の前後にゆとりを持って楽に排便
排泄に問題を抱える人を支援するNPO法人では、便秘の対処方法として食事や運動習慣、排便の方法といった基本的な対策に加えて、「朝の過ごし方」の改善を推奨しています。食事や運動習慣を改善することは便秘対策として基本中の基本ですが、理想的な朝の過ごし方は意外と知られていないのではないでしょうか?
朝の過ごし方のポイントは大きく3つあります。1つめは一定の時間に目を覚まして身体を動かすこと。2つめは朝食の前に水や白湯、お茶などを飲んで、消化器官に刺激を与えたり、食欲を高める良い香りの刺激を与えること、そして3つめは毎朝きちんと朝食を食べて、食後は排便するための余裕を持った時間を過ごすことです。
これを簡単にいうと、早起きをして朝食の前後に余裕のある時間を過ごすと、排便しやすくなるということなのです。忙しい現代人は、朝にゆったりと自分の時間を作ることは難しいかもしれませんが、できるだけ早寝早起きをして、早朝に自分の時間を作ることを心がけましょう。朝にゆったりできる時間をとることができれば、便秘解消と健康管理が両方達成できるのです。
また、朝型生活は、夜の睡眠の質もアップしてくれます。睡眠の質が良くなると、頭もカラダもリフレッシュできるので、朝方生活には一石二鳥以上の効果が期待できるというわけですね。

<参考文献>
■井村裕夫編集 文光堂
『わかりやすい内科学 第4版』
■日本コンチネンス協会
『コンチネンスケア』
執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
朝型の生活をおくっていない人は、鈍い痛みが継続する腹痛がおきやすくなるリスクが2.85倍になります。
A: 朝型の生活をおくっていますか?
B: 鈍い痛みが継続する腹痛がありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
58.3%
180人 |
41.7%
129人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
5.83%
18人 |
52.43%
162人 |
10.03%
31人 |
31.72%
98人 |
Z検定値 | 3.33 |
---|---|
オッズ比 | 2.85 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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