リンゴのペクチンは繰り返す腹痛の救世主!
リスク
2.25倍

リンゴのペクチンは繰り返す腹痛の救世主!

りんごを皮ごと食べていない人は、週に1回以上、腹痛になりやすくなるリスクが2.25倍になります。

解説

その腹痛は「反復性腹痛」?

「何かとお腹が痛くて困っている…」という悩みはないでしょうか?ときどきお腹が痛くなることが繰り返し起きるならば、それは「反復性腹痛」かもしれません。「反復性腹痛」とは、少なくとも1か月に1回お腹が痛くなることがあり、それが3か月以上続く状態です。

「反復性腹痛」は症状からつける診断名なので、原因にはさまざまなお腹の病気が含まれます。例えば、胃潰瘍や潰瘍性大腸炎、慢性膵炎など、重大な病気が原因になっていることもあります。これらの病気は、病院で検査を行えば発見することができるので、同時にその病気が反復性腹痛の原因であることも特定できます。しかし、どれだけ検査をしても異常が見つからないこともあります。その場合、お腹の動きがうまくいっていない、胃腸の血流が悪くなる、ガスが溜まるといったことが原因として考えられます。

「反復性腹痛」は、自律神経のバランスが乱れることによって起こりやすくなるとされています。自律神経のバランスがまだしっかりと整っていない年代である中学生では、10人に1人が「反復性腹痛」を経験するともいわれているほど。決して珍しい症状ではありませんし、大人になるにつれて自律神経のバランスが整っていくと、だんだんと症状が落ち着いてきて自然と良くなることも多いのです。しかし、大人であっても夜更かしや運動不足、ストレスなどで自律神経が狂いやすい状態が続けば、同じことが起きるので注意が必要です。

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リンゴのペクチンは腹痛に万能の効果が!

さて、そんな反復性腹痛で困っている人にオススメなのがリンゴ。それも皮ごと食べると効果的です。

もともとリンゴには、腸の状態を改善する成分がたくさん含まれています。リンゴの甘みであるオリゴ糖は腸の中の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やしてくれます。腸内環境が改善され、過剰なガスや便秘の改善になりますね。

さらに、リンゴを皮ごと食べるとたくさん摂取できるのが、食物繊維の1種のペクチンです。食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維の2種類があります。リンゴに含まれるペクチンは、もともとは不溶性食物繊維なのですが、リンゴが熟すにつれて、水溶性食物繊維に変化するという不思議な特徴を持っています。

不溶性食物繊維は便の量を増やす効果があり、腸の中を掃除したり、腸を刺激して動きやすくしてくれます。そして、水溶性食物繊維は水を含むとぬめりが出て、腸の中を便がスムーズに移動できるようになります。リンゴに含まれるペクチンは、両方の性質をあわせ持つ食物繊維ですので、2つの効果で腸を健やかに保つことができるのです。

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リンゴを皮ごと食べるのは不安?

さて、リンゴを皮ごと食べるときに、「皮についているワックスのような成分はなんだろう?」と思うことがあるかもしれません。ですが、国産のリンゴであれば心配無用です。実は、表面のワックスのようなものは、皮の乾燥を防ぐためにリンゴそのものが出している油なのです。この油には、オレイン酸やリノール酸など身体に良い油が含まれていますので、むしろ積極的にとりたいくらいなのです。

また、農薬が気になるという人でも、国産リンゴの場合は水洗いすればOK。リンゴの表面に残っていた農薬がとれ、身体への影響はほとんど気にしなくてもよい程度になります。国産のリンゴは安心して皮ごと食べてくださいね。

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<参考文献>
■江副クリニック
『こどものよくある病気』

■農業・食品産業技術総合研究機構
『リンゴ摂取による血液中の中性脂肪減少、ビタミンC増加、腸内細菌叢改善』

■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

りんごを皮ごと食べていない人は、週に1回以上、腹痛になりやすくなるリスクが2.25倍になります。

A: りんごは皮ごと食べていますか?
B: 週に1回以上、腹痛になりますか?

A
はい いいえ
27.0%
161人
73.0%
436人
B
はい いいえ はい いいえ
2.51%
15人
24.46%
146人
13.74%
82人
59.3%
354人
Z検定値 2.79
オッズ比 2.25
信頼度 99.4%
集計数:597人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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