笑顔は心臓病から身体を守る
リスク
3.2倍

笑顔は心臓病から身体を守る

怒りっぽい性格の人は、突発的な胸の痛みが起きやすくなるリスクが3.2倍になります。

解説

突発的な胸の痛みの原因

急な胸の痛みで、症状のつらさだけでなく不安を覚えたことはないでしょうか?急な胸の痛みが生じる原因として、肺や胸、心臓や血管の病気と神経や筋肉、骨の病気、胃腸など消化器の病気、そして“心因性の病気”などがあります。

心因性の病気とは、検査で身体には何も異常が見つからなかったにもかかわらず、ストレスなど精神的な負荷がかかったときに、胸の痛みや動悸、息切れなどといった症状が表れる病気です。生死に関わる問題ではないとしても、精神的な負荷の原因を取り除いたり、うつ症状へ対処する必要があります。

もちろん、心臓や血管の病気のように深刻な病気がかかわっている場合には、直ちに病院を受診するなど緊急の対応が必要となります。そして、こうした心臓の病気にもストレスなどの精神的負荷が大きく関わってきます。さらに、ストレスなど精神的負荷には「怒り」の感情が大きく影響しています。

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怒りがもたらす怖い胸の痛み

「怒り」の感情は、心臓の病気を悪化させるリスクを高めると考えられています。人が大勢の人の前で話そうとして緊張していたり、「怒り」に震えたりするときは、精神が興奮した状態にあります。こうしたとき、自律神経の1つである交感神経の働きが高まって、心臓は鞭を打たれたような状態となり、心臓のポンプ作用が急に活発になります。

こうしたときに、血管のしなやかさが低かったり、血管にわずかでも塞がっている部分があったりすると、全身にしっかりと血液を送ろうとして、心臓はポンプ作用をもっと強くしようとし、より強い負担がかかります。このように、心臓に強い負荷がかかった状態が続くと、心臓に栄養を送る血液の循環が不十分となって、胸の急激な痛みを伴う狭心症になることがあるのです。

テレビのドラマなどで、激しく怒っていた人が急に胸を押さえて倒れこむシーンを見たことはないでしょうか?もともと血管や心臓に異常がある人は、「怒り」が引き金になって狭心症が現れる可能性が十分に考えられます。最近では、心臓病のリハビリテーションの一環として心理的なケアやカウンセリング、ストレスマネジメントの重要性が認識されるようになっています。

もちろん、怒り過ぎ「だけ」が原因で狭心症になる人は少ないでしょう。ですが、不安定な精神状態に伴う胸の痛みや、重大な胸の痛みを予防するためにも、常に笑顔で過ごしてストレスを軽くすることを意識してみましょう。

もし、自分が怒りっぽい性格であると認識していたり、生活習慣が乱れていて心臓や血管の負担となっていると感じている場合は特に要注意。生死に関わる危険がある狭心症を予防するために、人間関係や生活環境を見直しましょう。日頃から穏やかに過ごせるように生活を見直すことは、心や身体を守るためのケアとして必要なのです。

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<参考文献>
■一般社団法人 日本呼吸器学会
トップページ

■国立循環器病研究センター
『循環器病情報サービス』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

怒りっぽい性格の人は、突発的な胸の痛みが起きやすくなるリスクが3.2倍になります。

A: 自分は怒りっぽくない性格だと思いますか?
B: 突発的な胸の痛みがありますか?

A
はい いいえ
44.0%
136人
56.0%
173人
B
はい いいえ はい いいえ
3.24%
10人
40.78%
126人
11.33%
35人
44.66%
138人
Z検定値 3.19
オッズ比 3.2
信頼度 99.8%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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