解説
日常的なジャンクフード習慣は免疫力を低下させる
インフルエンザにはできるだけかかりたくない、多くの人がそう思っていることでしょう。そのためには、ジャンクフードは2つの意味でお勧めできません。1つは普段からジャンクフードを食べているとインフルエンザになりやすいこと、もう1つはインフルエンザにかかったときにジャンクフードを食べると治りが悪くなるという点です。では、それぞれの理由を見てみましょう。
ジャンクフードを食べるとインフルエンザにかかりやすくなる理由の1つに、免疫力が低下することが挙げられます。ジャンクフードには、揚げ油や肉に含まれる脂肪など、脂肪分が多く含まれています。また、何度も使った油で揚げられていたり、でき上がってから時間が経っていたりすると、ジャンクフードに含まれる油が酸化し、劣化してしまいます。
油は人間の細胞において、細胞膜を作るのに必要な栄養の1つです。この細胞膜の油が酸化しているものに置き換わってしまうと、細胞が正常に働くことができなくなります。免疫細胞に関しても同様です。免疫細胞は、正常に働いていれば、ウイルスが侵入するとすぐにウイルスと闘い始めます。
しかし、免疫細胞の細胞膜を作る油が、酸化したものに置き換わってしまうと、ウイルスに立ち向かえずに体内への侵入を許してしまいます。そして、体内でのウイルスの増殖を防ぐのも免疫細胞。そのため、体内でウイルスが増えていくのを防ぐことができないのです。
この問題は、インフルエンザウイルスだけに関わらず、他の病原体の場合でも同じ。つまり、ジャンクフードによって免疫細胞の細胞膜がもろくなり、免疫力が低下するため、さまざまな病原体に感染しやすくなるということです。
さらに、ジャンクフードには免疫力を高めるビタミンが不足しています。ビタミンCは全身の免疫力を高め、ビタミンAはインフルエンザの侵入場所である喉などの粘膜を補強する効果があります。普段からこれらのビタミンが不足していると、インフルエンザにかかりやすい状況を生み出してしまうのです。

ジャンクフードは身体に負担がかかる食事
インフルエンザにかかってしまったあとも、ジャンクフードはお勧めできない食事です。感染症になったときの食事の基本は、消化に負担がかからない食べ物をとることです。ただでさえ身体は、ウイルスなどの病原体と戦っているのですから、食べ物を消化するだけで過度のエネルギーを使うような状態になると、病気が長引いてしまいます。
ジャンクフードに含まれる油は胃に長くとどまり、長い場合は半日も胃の中に残ります。消化に時間がかかると胃を動かすために胃にたくさん血流を届けなければならず、全身に広がったインフルエンザウイルスと闘うために必要な免疫細胞や栄養・酸素を、身体のすみずみまで届けられなくなってしまいます。
インフルエンザにかかったり、なかなか治らなかったという人は免疫力が低下しているのかもしれません。こうした状態に、普段何気なく食べているジャンクフードが関係しているのかも。インフルエンザや風邪に気をつけたい季節には、一度は食生活を見直してみましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『過酸化脂質(かさんかししつ)』
■健康医学 : 日本人間ドック学会誌
『生活習慣病と酸化ストレス : 人間ドックにおける活性酸素消去酵素活性測定の意義 : (1)肥満』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
ジャンクフードを食べないようにしていない人は、インフルエンザにかかると長引きやすくなるリスクが3.8倍になります。
A: ジャンクフードを食べないようにしていますか?
B: インフルエンザにかかると長引きますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
43.4%
134人 |
56.6%
175人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.59%
8人 |
40.78%
126人 |
11.0%
34人 |
45.63%
141人 |
Z検定値 | 3.42 |
---|---|
オッズ比 | 3.8 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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