ファーストフードの食べ過ぎは危険!?
リスク
2.23倍

ファーストフードの食べ過ぎは危険!?

ファーストフードを食べないようにしていない人は、物忘れが多くなるリスクが2.23倍になります。

解説

ファーストフードに含まれるトランス脂肪酸とは

以前の日本では、穀物や野菜、魚を中心とする和食がよく食べられていたため、世界的に見ても日本人は健康といわれていました。しかし、最近では食生活の欧米化、ファーストフードやコンビニエンスストアの普及、交通手段の改善などによって、カロリーや脂質の過剰摂取に運動不足が重なって不健康な日本人が増えています。実際に、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症する人の割合が増えていることがわかっています。

ファーストフードは時間がないときに急いで食事を済ませるには便利ですが、食べ過ぎると身体によくない脂質を摂取することになります。身体によくない脂質とは、トランス脂肪酸のことで加工肉や揚げ油などに含まれています。ほかにもマーガリンやショートニング、スナック菓子などに含まれます。

トランス脂肪酸の過剰摂取は、狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患を増やすだけでなく、認知症や肥満、がん、アレルギー性疾患などの発症を増やすと考えられています。しかし、これらの研究はほとんどがトランス脂肪酸の摂取量の多い欧米人を対象としており、日本人において同じような結果が得られるかはわかっていません。

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トランス脂肪酸を控えてバランスの良い食事を

世界保健機構(WHO)は、健康維持のためにトランス脂肪酸を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるように勧めており、アメリカなどでは積極的に制限をしています。しかし、今まで行われたトランス脂肪酸による健康への影響を検討した研究はほとんどがトランス脂肪酸の摂取量が多い欧米人を対象としているため、日本人へのトランス脂肪酸の影響はまだ不明確です。

また、厚生労働省の報告によると日本人の多くはトランス脂肪酸の摂取量がWHOの勧める基準である総エネルギーの1%を下回っているため、通常の食事の仕方であれば健康への悪影響は小さいのではないかと考えられています。

しかし、ファーストフードばかり食べている人はトランス脂肪酸を総エネルギーの1%以上摂取している可能性もあるので要注意です。代表的な症状が物忘れである認知症は、多くの原因が重なって発症するといわれています。具体的には、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙などです。

また、食事では肉や脂質の摂取が多いと認知症の発症率が上がり、魚の摂取やビタミンなどの摂取が多いと認知症の発症率が下がることがわかっています。ファーストフードの食べ過ぎは、認知症の原因となる可能性があるトランス脂肪酸だけでなく、肉や脂質を過剰に摂取し、一方でビタミンやミネラルが不足してしまうことがあります。

ファーストフードは控えめにして、野菜や魚、豆類などを積極的にとると物忘れの予防によいかもしれません。

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<参考文献>
■厚生労働省
『トランス脂肪酸に関するQ&A』

■Nutrition Review
『認知機能の低下防止と栄養』

■オレオサイエンス
『飽和脂肪酸のどこが悪い? ―生活習慣病に対する飽和脂肪酸悪玉説の検証一』

執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

ファーストフードを食べないようにしていない人は、物忘れが多くなるリスクが2.23倍になります。

A: ファーストフードを食べないようにしていますか?
B: 物忘れが多いほうですか?

A
はい いいえ
42.4%
131人
57.6%
178人
B
はい いいえ はい いいえ
11.0%
34人
31.39%
97人
25.24%
78人
32.36%
100人
Z検定値 3.23
オッズ比 2.23
信頼度 99.8%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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