解説
エノキには栄養がいっぱい
鍋物に欠かせないキノコのエノキ。実は、「低カロリーで食物繊維が多いだけ」と思われていたことがあります。エノキファンには叱られそうですが、「キノコの栄養」について、昔はあまり注目されていなかったのですね。もちろん今では見直されていて、いろんな栄養を持っていることがわかっています。例えば、免疫活性作用をもつ“キトサン”、がん抑制作用をもつ“EA6”、二日酔いに効く“ナイアシン”や貧血を治す“鉄”などがエノキには含まれているのです。
それだけでなく、エノキには心を豊かにして感動しやすくなる効果もあるかもしれません。これは、心を落ち着かせる効果がエノキにあるからではないかと考えられます。小説や映画、ドラマなど何かに感動するためには、心が落ち着いている必要があります。いつも心配事があったり仕事のことで頭がいっぱいだったら、なかなか感動することは難しいですよね。

GABAとナイアシンが心を安定させる
エノキの心に対する効果は、神経伝達物質である“GABA”とビタミンBの仲間“ナイアシン”から得られます。GABAは脳で情報を伝える役割を持つ物質です。脳は、興奮するとホルモンの1つの“アドレナリン”をたくさん分泌します。GABAはこのアドレナリンの分泌を抑える働きを持ち、リラックスを促します。実際に脳波を測定しながらGABAを摂取すると、リラックスしているときに増える脳波が増えることもわかっています。
ナイアシンにも、同じようにアドレナリンを抑える効果があります。さらに、ナイアシンには精神の安定をもたらすホルモンの“セロトニン”を増やす効果もあります。セロトニンは不足するとうつ病の原因になるといわれている物質です。
体内にナイアシンが豊富にあると、食事でとった材料からスムーズにセロトニンを作ることができます。そのため、セロトニン不足になりにくく、精神的に落ち着きやすくなるのです。
エノキは、気持ちをリラックスさせて、感動しやすい精神状態を生み出してくれるキノコです。よく見かける白くて柔らかいエノキに加えて、最近では薄い茶色の「ブラウンエノキ」もスーパーなどで手に入るようになってきました。ブラウンエノキは白いものより歯ごたえがあって香りが強いので、炒めてもシャキッとした食感を楽しめます。

<参考文献>
■日本栄養・食糧学会誌
『GABA経口摂取による自律神経活動の活性化』
■大阪市中央卸売市場
『えのきたけ』
■国立健康・栄養研究所
『水溶性ビタミン「ナイアシン」のヒトにおける代謝』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、エノキを食べていない人は、感動することが少なくなるリスクが2.33倍になります。
A: 月に1回以上、エノキを食べていますか?
B: 感動することが少ないほうですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
66.7%
206人 |
33.3%
103人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
15.21%
47人 |
51.46%
159人 |
13.59%
42人 |
19.74%
61人 |
Z検定値 | 3.29 |
---|---|
オッズ比 | 2.33 |
信頼度 | 99.8% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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