解説
ほうれん草には身体に優しい栄養素がたっぷり!
ほうれん草は、色が濃い野菜である緑黄色野菜の仲間です。緑黄色野菜とは、100グラムあたりに含まれるβ-カロテンが600マイクログラム以上の野菜を指しています。ほうれん草の以外の緑黄色野菜には、にんじん、かぼちゃ、小松菜などの野菜があります。
β-カロテンは強い抗酸化作用があり、血管の状態を改善することで動脈硬化や心臓病を予防してくれます。また、免疫力を高めてくれる働きもあるので、ガンや感染症の予防にもつながるのです。さらに、外食やインスタント食品を食べることが多い人、激しいダイエットで食事バランスが崩れている人などに不足しがちな鉄分が豊富です。鉄分が不足すると、貧血で日中でも息切れしたり、だるさを感じたりしてしまいます。汗や尿、女性では毎月の月経などで鉄分が失われやすいので、ほうれん草などの緑黄色野菜は意識してとるようにしましょう。
鉄分は良質のたんぱく質と一緒にとると吸収率が高まります。ですから、緑黄色野菜を食べるときには、肉や魚、卵、大豆、大豆製品などを合わせてとるのがおすすめです。例えば、ほうれん草と豚肉の炒め物や、ほうれん草の白和え、卵入りほうれん草のスープなどはいかがでしょうか。
鉄分不足による貧血だけでなく、日中の眠気やだるさが長く続くときは、血糖値が高めの可能性も考えられます。実は、そんな症状もほうれん草を食べる習慣が助けてくれるかもしれません。

高血糖で眠さが…ほうれん草で予防しよう
ほうれん草に豊富なβ-カロテンは、高血糖を予防するといわれています。β−カロテンの血中濃度が高い人ほど2型糖尿病(体質や食習慣、生活習慣により発症する糖尿病)にかかるリスクが減るという報告があるのです。これは、β-カロテンが活性酸素を除去し、生活習慣病などを予防することと関係性があると考えられます。
さらにほうれん草は、GI値という血糖値を上昇させるスピードを表した数値が低い野菜のひとつ。食事の後でも血糖値の上昇がゆるやかな食品ということになります。
ほうれん草などの葉物は、かぼちゃ、ごぼうなどよりも全体にGI値が低めです。血糖値が気になる人はまず葉物野菜をたっぷり食べましょう。甘みを感じやすい根菜は量をとりすぎず、砂糖やみりんなどの調味料の量は多くしすぎないように注意しましょう。
さらに、海藻なども血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。ほうれん草とわかめのナムルなどもおすすめですね。最近、日中でも眠気やだるさを感じる…という人は、冬が旬のほうれん草を、意識して食べるように心がけましょう。

<参考文献>
■日本食品科学工学会誌
『ミカンの摂取と健康に関する栄養疫学調査:三ヶ日町研究』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、ほうれん草を食べていない人は、日中に眠気やだるさを感じることが多くなるリスクが1.47倍になります。
A: 週に1回以上、ほうれん草を食べていますか?
B: 日中に眠気やだるさを感じることは多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
29.9%
353人 |
70.1%
827人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
18.05%
213人 |
11.86%
140人 |
48.47%
572人 |
21.61%
255人 |
Z検定値 | 2.94 |
---|---|
オッズ比 | 1.47 |
信頼度 | 99.6% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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