解説
元気の素!緑黄色野菜のβ-カロテンに注目
普段食べている野菜を「根菜」「実野菜」「葉野菜」のように、どの部分を食べるかによって分類することがありますね。それだけでなく、とても大事なある栄養素の量によって決まっているのが「緑黄色野菜」というカテゴリーです。
緑黄色野菜のカギになるのは、“カロテン”という栄養素です。カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わる性質を持っています。ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ健康維持には欠かせない栄養素で、これをしっかりとれるのが緑黄色野菜なのです。
緑黄色野菜を見分けるには、黄色や赤、緑色など色の濃さに注目しましょう。一般的に、トマト、ピーマン、かぼちゃ、にんじん、小松菜、ほうれん草などがあたります。オクラ、みつば、カイワレダイコンなども立派な緑黄色野菜の仲間です。
「ブロッコリーは緑黄色野菜だけれど、同じ仲間のカリフラワーは違う」「サニーレタス、サラダ菜は緑黄色野菜、玉レタスは違う」などちょっとややこしい野菜もありますが、色の濃い方、と覚えておけば大丈夫。ちなみに緑黄色野菜以外の大根、白菜、キャベツなどは“淡色野菜”といいます。
カロテンの中でもβ-カロテンは抗酸化作用が強く、免疫力を高めて感染症やガンを予防したり、視力を正常に保ったりするなど、さまざまな効果があります。ビタミンAはレバーなど動物性の食品にも含まれているのですが、動物性の食品由来のビタミンAは、とりすぎると中毒症を引き起こすおそれもあるため注意する必要があります。一方でβ-カロテンならば、必要な分だけビタミンAに変わるので、ビタミンAのとり過ぎによる中毒症の心配はほとんどありません。

β-カロテンだけではなかった!緑黄色野菜の健康維持に役立つ栄養素とは?
緑黄色野菜には、β-カロテン以外にも、糖質の代謝を助けるビタミンB1、脂質の代謝を助けるビタミンB2、風邪予防、コラーゲン生成に携わるビタミンC、免疫力をアップさせたり、血流を改善するビタミンE、骨の健康を保ったり、血液を止血する効果があるビタミンK、そして、大腸がんを予防する食物繊維など、身体に良い栄養素が豊富に含まれています。
1日に食べる野菜の量は、緑黄色野菜と淡色野菜を合わせて350g以上、そのうちおよそ3分の1は緑黄色野菜をとることが望ましいとされています。緑黄色野菜と淡色野菜を上手に組み合わせながら食べるように心がけましょう。また、β-カロテンや、ビタミンE、ビタミンKは油と一緒にとることで吸収率が高まるといわれていますので、炒め物や肉料理に添えて食べるのがおすすめです。
ただし、ビタミンE、ビタミンKはとりすぎると使われなかった分は体内に蓄積されていきます。サプリメントとの併用などで、とりすぎにならないように注意しましょう。食事を作る際に、彩りを考えて色の濃い野菜をプラスすると、自然に緑黄色野菜をバランス良く加えることができます。目でみても美味しい、鮮やかな色を意識するようにしましょう。

<参考文献>
■香川明夫監修、女子栄養大学出版部
『七訂 食品成分表2017』
■広瀬寛、阿部芳子監修 ナツメ社
『あなたを元気にするビタミン—正しい知識ととり方がわかる』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、緑黄色野菜を食べていない人は、健康状態に不安が起きやすくなるリスクが1.77倍になります。
A: 週に3回以上、緑黄色野菜を食べていますか?
B: 人よりも健康状態に不安はありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
71.2%
770人 |
28.8%
312人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
30.04%
325人 |
41.13%
445人 |
16.27%
176人 |
12.57%
136人 |
Z検定値 | 4.24 |
---|---|
オッズ比 | 1.77 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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