解説
不眠の悩みは人によってさまざま
ストレスがたまりがちな現代社会を生きる私たち。「布団に入ってもなかなか眠れない」「途中で目が覚めてしまう」など、思うように睡眠をとることができていない人も多いのではないでしょうか。「睡眠の悩み」と一口で言っても、その中身は人それぞれです。では、不眠のタイプにはどのようなものがあるのか、みてみましょう。
1つめは、“入眠障害”と呼ばれるタイプです。布団に入れば、多くの場合、10〜15分で眠りにつくのですが、眠りにつくまでに30分以上かかると、入眠障害の可能性があります。入眠障害の原因として、悩みごとがある、布団に入ってから考えごとをしてしまうなどといったことが挙げられます。
2つめは、“中途覚醒”。いったん寝たのに途中で起きてしまい、もう一度眠ることが難しいというトラブルで、中高年の方に多く見られるタイプです。これと似ているのが、3つめの“早朝覚醒”というタイプ。予定していた起床時間よりも2時間以上前に目が覚めてしまうというもので、高齢者に多くみられます。
4つめは“熟眠障害”といい、睡眠時間は確保できているのに、「しっかり寝た気がしない」というトラブルです。中には、この4つのタイプのうち2つ以上現れる場合もあります。

白ゴマのトリプトファンが不眠の悩みを改善
そんな睡眠の悩みがある人におすすめの食材があります。それは、ゴマあえなどでもおなじみの白ゴマ。白ゴマには、睡眠の質を改善する“トリプトファン”がたくさん含まれているからです。
トリプトファンは、たんぱく質を作るアミノ酸の一種です。アミノ酸には、体内で作ることができる非必須アミノ酸と、体内で作ることができない必須アミノ酸がありますが、トリプトファンは必須アミノ酸の1つです。食事からとる必要があるので、不足しやすいアミノ酸であるといえますね。
トリプトファンは、睡眠と密接にかかわっている“セロトニン”の材料になります。セロトニンは、心を穏やかに保ち、ストレス耐性を高める物質で、不足するとううつ病になりやすくなるといわれています。悩みごとやストレスで寝つけない入眠障害のタイプの人は、このセロトニンが不足しているかもしれません。
さらに、セロトニンは眠気を促す“メラトニン”に変化します。メラトニンが不足すると、途中で目が覚めたり、しっかり寝られないため熟眠感が得られなかったりといった不眠の症状があらわれやすくなります。
つまり、トリプトファンが不足すれば、セロトニンもメラトニンも十分に作られなくなり、さまざまな不眠を引き起こすおそれがあるということですね。トリプトファンは白ゴマに限らず黒ゴマにもしっかり含まれていますが、どちらかといえば黒ゴマは香りが強く、たくさん摂取するにはほかの食品との組み合わせが難しいかもしれません。
その点、白ゴマはクセがなく、さまざまな食材と組み合わせやすいというメリットがあります。食べ方も簡単で、野菜のおひたしや炒め物にふりかけたり、肉や魚を食べるときのつけダレに入れたりと自由自在です。白ゴマは、日常的にトリプトファンを摂取したい人の救世主になること間違いなしですね。

<参考文献>
■MSD 快眠ジャパン
『4つに分類される不眠の症状』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)アミノ酸成分表編』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、白ゴマを食べていない人は、不眠の悩みが起きやすくなるリスクが2.94倍になります。
A: 週に1回以上、白ゴマを食べていますか?
B: 不眠の悩みはありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
31.7%
98人 |
68.3%
211人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
5.18%
16人 |
26.54%
82人 |
24.92%
77人 |
43.37%
134人 |
Z検定値 | 3.6 |
---|---|
オッズ比 | 2.94 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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