万病の元「イライラ」を運動で解決
リスク
2.88倍

万病の元「イライラ」を運動で解決

週に3回以上、汗をかくような運動をしていない人は、イライラしやすくなるリスクが2.88倍になります。

解説

イライラは健康を損なう原因に

私たちが幸せな毎日を過ごすためには、日常的に生じる不快なこと、頭にくることなどのさまざまなストレスと共存していく必要があります。ストレス対策には、ストレスをできるだけ感じないようにすること、たまったストレスはこまめに解消することが大切です。

ストレスを感じないように心がける1つの方法として、アドラー心理学の“アンガーマネジメント(怒りのコントロール)”が挙げられます。アドラー心理学は、雑誌やテレビなどでも話題になることが多いので、知っている人も多いかもしれませんね。

上手に怒りをコントロールするためには、まず怒りを感じてから実際に怒るまで、とりあえず6秒間待ってみましょう。怒り始めてからの6秒間は、最も怒りを感じている時間。ここをぐっとこらえることができれば、実際に怒らずにすむことも多いのです。

また、「こうするべき」という固定概念を捨て、「許せるかどうか」で判断することも重要です。例えば、「夕飯は一汁三菜がそろっているべき」と考えていると、夕飯がカレーライス一品のみの場合にストレスを感じてしまいますね。ですが、「夕飯は栄養バランスがある程度は整っていれば、一品でもよい」と考えていれば、一品料理でもストレスを感じにくくなるでしょう。

そして、ストレスを感じにくい環境を整える際には、自分で変えられることだけに集中することも大切です。ほかの人の意見や性格は簡単には変えることができません。新たなストレスを増やさないためにも、自分でできるストレス対策に集中しましょう。

このようなアンガーマネジメントがうまくできていないと、イライラした状態が長く続いてしまいます。他人のちょっとした言動でカッとなって攻撃的な行動に出たり、逆に被害妄想のように自虐的な考えに陥ってしまい、社会的な人間関係に悪影響が出るリスクもあります。また、イライラした状態で交感神経が過剰に働くと、心臓や血管の負担が大きくなる、胃や腸の消化機能が低下する、睡眠障害に陥りやすくなるなど、健康上の問題も発生しやすくなるのです。

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有酸素運動にプラスアルファでイライラを改善

どれだけ上手に怒りをコントロールしていても、大なり小なりストレスはたまります。ストレス対策には、ストレスをためないようにすることと同時に、たまったストレスをうまく解消することが重要なのです。

そこで、ストレス解消におすすめなのが運動療法。運動療法には、怒りやうつを改善する効果が認められています。ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、手軽に始められて効果的。できれば有酸素運動に心理カウンセリングをプラスする、1人で運動するよりもフィットネスジムなどでほかの人と一緒に運動する、筋力トレーニングを加えるといった方法を取り入れると、さらなる効果が期待できます。

ストレス解消のために運動する場合、週に3回以上の運動を3〜12ヶ月続けることをおすすめします。このように運動することが習慣になれば、自律神経が整って胃腸の働きもよくなり、質のよい睡眠をとることにもつながります。適度な運動はストレスを解消し、イライラからくる生活の質の低下を防いでくれるのですね。

ストレス対策には、ストレスをできるだけためないようにするアンガーマネジメント、ストレスを解消する運動療法の2つを心がけることが大切です。ストレスと共存するために自分でできることを考え、ストレスによって健康を損ねないように気を付けましょう。

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<参考文献>
■椙山女学園大学文化情報学部紀要
『怒りの現象学的心理学』

■Circulation Journal
『心疾患における運動療法に関するガイドライン』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

週に3回以上、汗をかくような運動をしていない人は、イライラしやすくなるリスクが2.88倍になります。

A: 週に3回以上、汗をかくような運動をしますか?
B: イライラしやすいですか?

A
はい いいえ
10.4%
32人
89.6%
277人
B
はい いいえ はい いいえ
3.24%
10人
7.12%
22人
50.81%
157人
38.83%
120人
Z検定値 2.73
オッズ比 2.88
信頼度 99.3%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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