解説
2015年にアメリカの学会で、玉ねぎから抽出した物質を糖尿病のラットに与えると、血糖値が35%〜50%も下がったという研究結果が報告されました。ただ、玉ねぎのどの成分が、血糖値改善に効果的なのかは、まだよくわかっていません。また、今回報告された研究はラットを対象にしたものですから、ヒトに対する効果などはこれから解明されていくでしょう。
血糖値を下げるのに効果的な成分は、玉ねぎを包丁で切ったときに涙を出す成分のもとになる“イソアリイン”であるとも考えられています。この成分は、調理のしかたによっては失われてしまうので注意が必要です。そういったことから、血糖値改善には生の玉ねぎが良いというわけですね。
ところで、玉ねぎ抽出物を与えられた健康なラットは、血糖値は正常だったものの太ってしまったそうです。玉ねぎは香りが良く、さまざまな料理や食材と相性が良いので、食欲増進効果があります。ラットは食欲が増してえさを食べ過ぎてしまったのですね。血糖値に対する玉ねぎの効果には期待十分ですが、くれぐれも食べ過ぎにはご注意を!

<参考文献>
■THE ENDOCRINE SOCIETY
『Onion extract may improve high blood sugar and cholesterol』
■野菜のおいしさ検討委員会 平成21年度報告書
『タマネギ』
執筆 : 麓加誉子
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、玉ねぎを食べていない人は、血糖値が基準値を超えやすくなるリスクが5.3倍になります。
A: 月に1回以上、玉ねぎを食べていますか?
B: 血糖値は基準値を超えていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
96.4%
298人 |
3.6%
11人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
9.39%
29人 |
87.06%
269人 |
1.29%
4人 |
2.27%
7人 |
Z検定値 | 2.81 |
---|---|
オッズ比 | 5.3 |
信頼度 | 99.5% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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