解説

「最近物忘れが多くなったなぁ」と感じていませんか?もしかしたら、それは脂身たっぷりのお肉をたくさん食べているせいかもしれません。動物性脂肪をとり過ぎると、血液中のLDLコレステロールが増えてしまいます。
「物忘れとコレステロール、何の関係があるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。なんと、LDLコレステロールが増加すると、アルツハイマー型認知症の患者の脳に見られる老人斑ができやすくなるんです。老人斑は、その場所にある神経細胞が機能していないしるしなので、LDLコレステロールが記憶力などの認知機能に問題を起こす可能性があるといえますね。
また、LDLコレステロールが酸化すると、動脈硬化が進み、脳梗塞などの脳の病気になるおそれがあります。このような病気では、物忘れはもちろん、より重大な脳の問題が起こる可能性があるので一層注意したいですね。
それでは、LDLコレステロールによって起こる認知機能の問題は、どうすれば防ぐことができるのでしょうか。もちろん、動物性脂肪の多いお肉(牛・豚・羊など)は控えるべきですが、コレステロール対策にオススメの食材があるんです。
それは、秋冬の季節においしい緑黄色野菜、かぼちゃ!かぼちゃには、さまざまな栄養素が含まれていますが、特に注目したいのは食物繊維とビタミン。食物繊維はコレステロールの吸収を防ぐはたらきがあります。また、ビタミンCやビタミンEには抗酸化作用があるので、コレステロールの酸化を防いでくれるんです。また、ビタミンB1は、脳のエネルギー源になる糖質の代謝になくてはならない栄養素です。
厚生労働省の指針では、1日に野菜を350g、そのうち120g以上を緑黄色野菜にすることを目標としています。かぼちゃを積極的に食べると、この目標もクリアできちゃいそうですね。
かぼちゃは、抗酸化作用もあり記憶力を守る魅力的な野菜ですが、少し糖質が多めです。血糖値が気になる方は、砂糖を使った煮物やお菓子に加工したものは避けた方がよいかもしれません。
かぼちゃの仲間のズッキーニは、エネルギーが少なく、カルシウムやビタミンCが多く含まれているのでこちらもおススメです。ほかにも、ゆでると麺のようにほぐれる独特の食感の“そうめんかぼちゃ”などもあります。かぼちゃは、意外に種類も食べ方も多いので、バリエーションをつけて試してみましょう。

<参考文献>
■Harvard Health Publications
『Boost your memory by eating right』
■厚生労働省 健康日本21
『栄養・食生活』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、かぼちゃを食べていない人は、物忘れが多くなるリスクが3.01倍になります。
A: 週に1回以上、かぼちゃを食べていますか?
B: 物忘れが多いほうですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
14.6%
45人 |
85.4%
264人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.59%
8人 |
11.97%
37人 |
33.66%
104人 |
51.78%
160人 |
Z検定値 | 2.79 |
---|---|
オッズ比 | 3.01 |
信頼度 | 99.4% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
>数値の見かたはこちら