解説
みかんの白い筋が生活習慣病予防に!

みかんの房の周りについている白い筋。これをていねいに取って食べる人も多いかもしれません。ですが、この白い筋にも意外な栄養が含まれている上に、糖尿病などの病気に対する効果が期待されています。実は、みかんは少々ずぼらに筋ごと食べるほうがおすすめなんです。
みかんの白い筋には、ビタミンに似た働きをする植物成分が含まれています。“ビタミン様物質”や“ビタミンP”とも呼ばれ、働き方やその効果などが盛んに研究されています。みかんの白い筋に含まれているのは、このビタミンPのひとつである“ヘスペリジン”です。ヘスぺリジンは、血管の健康を助け、血圧を下げたり血糖値を安定させたりする働きがあると期待されています。
フランスの大学で行われた研究では、50~65歳の肥満気味の男性に4週間オレンジジュースまたはヘスペリジンが含まれた飲み物を飲んでもらい、飲まなかったグループと血管の健康を比較する調査を行いました。すると、オレンジジュースのグループもヘスペリジンドリンクのグループも、血圧が下がり、毛細血管内皮(血管の内側の壁)の機能がよくなったという結果が出ました。毛細血管内皮の機能は糖尿病や動脈硬化、高血圧症などの病気と関連があります。ヘスペリジンが血管の健康をサポートしてくれることで、怖い生活習慣病のリスクが減るといえそうですね。

みかんの効果的な食べ方は?
ヘスペリジンには毛細血管の血流をよくする働きもあるとされています。ですから、みかんを筋ごと食べることで血行不良からくる肩こりの改善が期待できそうです。高血圧はあまり自覚症状がないのですが、進行すると肩こりを感じる人もいるので、おやつを食べるなら血圧を下げてくれるみかんを食べてヘスペリジンを取るとよさそうです。
肩こりがひどく、ヘスペリジンをしっかり取りたいという人には、あまり熟していない、少し青いみかんがおすすめ。よく熟れたみかんよりもヘスペリジンが多く含まれています。
身体によいといっても何でも食べすぎは禁物です。温州みかんには、発ガンの抑制や生活習慣病を予防する効果が期待される“β-クリプトキサンチン”も含まれています。農林水産省によると、こうした健康成分を取れるみかんの適量は1日に1~2個ほどですから、これを目安に食べるとよいでしょう。

<参考文献>
■The American Journal of Clinical Nutrition
『Hesperidin contributes to the vascular protective effects of orange juice:a randomized crossover study in healthy volunteers.』
■農林水産省 平成21年度食料・農業・農村白書
『(1)国内農業生産の動向 イ 主な品目別の動向』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
みかんの白い筋を剥かずに食べていない人は、肩がこりやすくなるリスクが2.33倍になります。
A: みかんは白い筋を剥かずに食べていますか?
B: 肩がこりやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
68.9%
213人 |
31.1%
96人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
37.86%
117人 |
31.07%
96人 |
22.98%
71人 |
8.09%
25人 |
Z検定値 | 3.17 |
---|---|
オッズ比 | 2.33 |
信頼度 | 99.8% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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