解説
「野菜」と「根菜」って、別のもの?
野菜といっても、どの部分を食べるかによっていくつかの分類があります。果菜類(かさいるい)とは、果実を食用とする野菜で、ナスやキュウリ、トマトなどが代表的です。葉茎菜類(ようけいさいるい)とは、葉茎菜類とは、葉や茎を食用にする野菜をいい、ネギやウド、アスパラガスが代表的です。根菜類(こんさいるい)とは、根や地下茎を食用とする野菜をいい、だいこん、ニンジン、ごぼう、かぶ、レンコンなどが代表的です。このように、部位によって呼び方がかわってくるのですが、どれも野菜の仲間です。

食物繊維で下痢が早く治る!?
さて果菜類、葉茎菜類、根菜類、このすべてに共通している栄養素が、食物繊維です。食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。炭水化物や脂質、たんぱく質のように、消化液で消化されないものが食物繊維なのです。
食物繊維は消化されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分で、便秘の予防をはじめとする整腸効果もあることから、積極的に取ることが推奨されています。
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類あります。水に溶けない食物繊維は、繊維質に富んでおり便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の腸内細菌に利用され、便秘予防や腸の働きを正常にすることがわかっています。
水溶性食物繊維の中でも、フラクトオリゴ糖は腸内フローラの中で“善玉菌”と呼ばれるビフィズス菌などの働きを助け、下痢の原因になるウェルシュ菌や大腸菌の増殖を抑える効果があることがわかっています。途上国の子供を対象にした研究では、フラクトオリゴ糖を取ると急性の下痢の症状の期間が短くなったと報告されています。
こんなに有用な食物繊維ですが、日本人の平均的な摂取量は、1950年代では1人あたり1日20gを超えていましたが、最近では1日あたり14g前後と推定されていて、だいぶ少なくなってしまいました。
野菜の中でも、下痢に有効なフラクトオリゴ糖が多いのは、果菜類ならトマト、葉茎菜類ではアスパラガス、根菜類では玉ねぎなどが代表的です。下痢で胃腸が弱っているときには、こうした野菜を消化のよいスープにするなど工夫して、お腹をいたわってあげましょう。普段から野菜や根菜をたっぷり食べて、下痢・便秘のない健康な腸内環境を作りましょう。

<参考文献>
■農林水産省
『食料需給表の概要』
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『食物繊維の必要性と健康』
■腸内細菌学雑誌
『フラクトオリゴ糖と下痢』
執筆 : 管理栄養士キクチエミコ
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、根菜や野菜を食べていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが4.15倍になります。
A: 週に1回以上、根菜や野菜を食べていますか?
B: 週に1回以上、下痢になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
89.6%
277人 |
10.4%
32人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.33%
35人 |
78.32%
242人 |
3.88%
12人 |
6.47%
20人 |
Z検定値 | 3.71 |
---|---|
オッズ比 | 4.15 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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