解説
ケガをして傷が治っていく過程は、大きく“炎症反応期”“増殖期(肉芽形成期)”“安定期”の3段階に分かれています。まず最初の段階である“炎症反応期”は、出血を止める時期であり、この時期は冷やして安静が良いとされています。次の“増殖期(肉芽形成期)”は、皮膚の欠損がある部分をコラーゲンなどで埋めていく時期です。そして最後の“安定期”は埋まっていった皮膚の表層がきれいになっていく反応が起こる時期です。
この増殖期と安定期には細胞レベルでの生体反応が活発になり、たくさんのエネルギーを必要とします。そのため、身体の健康状態が良くないと傷の治りが遅くなったり、十分に回復しないまま治癒過程が終わってしまったりするのです。傷を治そうとする働きに身体がしっかりついていくようにするためには、栄養バランスの良い食事をとったり、運動を習慣化したりするようにしましょう。

<参考文献>
■NPO法人創傷治癒センター
『傷と治療の知識』
■医学書院
『理学療法ジャーナル.40巻.5号』
執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、スポーツをするようにしていない人は、傷の治りが遅くなるリスクが4.45倍になります。
A: 週に1回以上、スポーツをするようにしていますか?
B: 傷の治りが遅いほうですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
19.7%
61人 |
80.3%
248人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
1.94%
6人 |
17.8%
55人 |
26.21%
81人 |
54.05%
167人 |
Z検定値 | 3.55 |
---|---|
オッズ比 | 4.45 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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