解説
頭皮の健康にも関わる「成長のビタミン」ビタミンB2
頭皮がベタつくほど皮脂がひどくなり、ふけやかゆみを伴う状態を脂漏性皮膚炎といいます。成人で困っている人も多く、一般的な皮膚の症状です。
この脂漏性皮膚炎は、ビタミンB2の不足によって起きるといわれています。健康な人がバランスよく1日の食事をとっていればあまり不足することはありません。ですが、糖尿病や一部の抗生物質を服用している人、また女性では経口避妊薬を服用している場合、食生活でビタミンB2が十分に取れていないことが重なって、ビタミンB2が不足することがあります。
ビタミンB2は“成長のビタミン”ともいわれ、身体の機能を維持するほかのビタミンの消化吸収にも関わっています。ビタミンB2が不足することにより、同じく口角炎などの皮膚症状に関係するビタミンB6が不足することもありうるのです。
ビタミンB2の1日の摂取推奨量は、成人男性では1日1.6mg、女性は1.2mgです。ビタミンB2はレバー、あまのり(のり)、卵黄、肉類、豆、きのこ、緑黄色野菜などに多く含まれています。
大豆から作られた味噌を使った味噌汁に、さまざまな食品を組み合わせれば美味しくビタミンB2をしっかり取ることができます。
たとえば、ほうれん草や小松菜などを入れた菜っ葉の味噌汁や、卵をプラスしたニラの卵とじなど、野菜の味噌汁は日常的に食べやすいですね。あおさやのりなど、海藻をひとつまみと味噌をお椀に入れて、ささっと作れる味噌汁なら忙しい朝にも簡単です。夕食には、豚肉に緑黄色野菜のニンジン、きのこ類のしいたけなど野菜を組み合わせた豚汁はボリュームがあっておかずにもなりますね。しじみにもビタミンB2が多いので、味噌汁の小さな身もつまんで食べましょう。

真菌の「えさ」を断って皮脂対策
ところで、脂漏性皮膚炎はビタミンB2不足のような身体の内側の影響だけで起きるわけではありません。皮膚に広く住み着いている真菌“マラセチア”が皮脂を分解して脂肪酸を作り出し、この脂肪酸が炎症の原因となることが知られています。炎症を起こすほど真菌が増えすぎた場合には、皮膚科での治療が必要になります。
加えて、皮脂の分泌は季節やスキンケア、ストレスなどちょっとしたことで変わります。揚げ物など油っこい食べ物の食べすぎも皮脂を増やす元になり、脂漏性皮膚炎を悪化させてしまうことがあります。味噌汁を取り入れた献立を組み立てることで、食事のバランスを整えやすくなる効果も期待できますね。

<参考文献>
■菱田明、佐々木敏監修 第一出版
『日本人の食事摂取基準 2015年版』
■日本ビタミン学会編集、朝倉書店
『ビタミン総合事典』
■真菌誌
『Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー性皮膚炎』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、味噌汁を飲んでいない人は、人よりも頭皮がベタつくと感じやすくなるリスクが2.74倍になります。
A: 月に1回以上、味噌汁を飲んでいますか?
B: 人よりも頭皮がベタつくと感じますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
90.0%
278人 |
10.0%
31人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
18.77%
58人 |
71.2%
220人 |
4.21%
13人 |
5.83%
18人 |
Z検定値 | 2.65 |
---|---|
オッズ比 | 2.74 |
信頼度 | 99.1% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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