解説
コーヒーフレッシュって何だろう?
コーヒーに、ミルクの代わりにコーヒーフレッシュを入れるという方は多いかもしれません。コーヒーフレッシュは常温でも約3か月はもち、安く手に入るのでレストランやカフェなどでも広く使用されています。
ところで、コーヒーフレッシュにはミルクは含まれていないことをご存知でしょうか?原材料を確認すると、植物油脂、乳化剤、香料、安定剤、pH調整剤などと記載されています。実は、コーヒーフレッシュはサラダ油やパーム油などの植物油と水と乳化剤を加えて混ぜ合せ、ミルクに似たようなとろみをつけるために増粘多糖類を添加してできています。
ほかの含有成分であるpH調整剤には製品を長持ちさせる作用があり、香料にはミルクのような香りをつけるはたらきがあります。
コーヒーフレッシュに含まれている乳化剤は、主にショ糖脂肪酸エステルとよばれるものです。乳化剤とは、油や水などのように混ざりにくい液体を混ざりやすくする作用がありますが、ほかにも口にした時にクリーミーで柔かい舌触りを可能にする効果があります。ふんわりとした軽い食感やサクサクとした歯ごたえを実現することもできるため、アイスクリームやケーキミックス、天ぷら粉などに使用されています。化粧品などにも使用でき、医療の現場では流動食に含まれています。

コーヒーフレッシュに含まれる乳化剤は下痢の原因に
ショ糖脂肪酸エステルの安全性を証明する研究は多く、国際機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議でも評価され、食品添加物として使用しても問題ないとされています。日本でも1959年に食品添加物として認可され、食品衛生法によって食品への使用が可能とされています。
しかし、合成乳化剤なのでとりすぎると腸で消化吸収できずに下痢を起こすこともあります。合成乳化剤に対し、天然の乳化剤であるレシチンは比較的下痢を起こしにくいと考えられています。レシチンは卵黄やレバー、酵母などに含まれている天然由来の乳化剤です。
合成乳化剤と天然由来の乳化剤の腸管への影響を検証するために、医療現場で使用されている流動食に含まれる乳化剤の違いが、下痢と関係するか調べた研究があります。研究はラットを対象に行われ、合成乳化剤が含まれる流動食を投与すると、卵黄レシチンが含まれる流動食に比べて下痢を起こしやすいことが明らかになりました。
下痢を起こす理由としては、合成乳化剤の方が腸管での脂質吸収が悪いためではないかと考えられています。
今までの研究結果をまとめると、コーヒーフレッシュに含まれるショ糖脂肪酸エステルのような合成乳化剤の安全性は保証されているものの、とりすぎると下痢を起こす可能性があります。コーヒーフレッシュの代わりに牛乳や豆乳を使用してみるのもよいかもしれませんね。

<参考文献>
■第一工業製薬社報
『食品用乳化剤としてのショ糖脂肪酸エステル』
■キユーピー株式会社
『卵黄レシチン配合流動食の下痢改善効果』
■キユーピー株式会社
『流動食に使用される乳化剤の違いが脂質吸収におよぼす影響』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
コーヒーフレッシュをよく使っている人は、年に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが2.63倍になります。
A: コーヒーフレッシュを使わないようにしていますか?
B: 年に1回以上、下痢になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
63.8%
197人 |
36.2%
112人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
43.37%
134人 |
20.39%
63人 |
30.74%
95人 |
5.5%
17人 |
Z検定値 | 3.24 |
---|---|
オッズ比 | 2.63 |
信頼度 | 99.8% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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