旬の食材で腸内環境を整えよう
リスク
2.48倍

旬の食材で腸内環境を整えよう

1年を通じて、旬の食材を食べるようにしていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが2.48倍になります。

解説

大切な「旬」という考え

今では栽培技術や養殖など食材を育てる技術、そして長期保存する技術、さらには海外から生鮮食品を運ぶ技術が向上し、スーパーでは1年中同じ食材を見ることができます。もしかしたら、今の子供たちはほとんどの食材の旬を知らないかもしれませんね。いつでも、ほしいものが手に入るのは便利ですが、いいことばかりではありません。

旬の時期であれば野菜は長い歴史の中でその気候にあわせて育ち、その時期の雑草や害虫に強くなって生き残ってきたのですから、それほど人間が手をかけなくても育ちます。しかし旬でない時期に生鮮食品を採るためには、たとえば野菜を早く育てるために化学肥料を大量に使用したり、害虫から守るために農薬を使用したりしなければなりません。

冬の食材を得るために気温の低い標高の高い土地で栽培しても、それを都市部まで運ぶにはトラックで長い距離を運転しなければならず、大気汚染をさらに悪化させています。暖かい時期に採れる食材を別の時期に育てるためにビニールハウスで栽培すれば、灯油や重油を使って暖めなければいけませんでした。このように環境に負担をかけながら、野菜や果物、家畜に無理をして時期外れにも手に入るようにしているのです。そしてこれらの肥料や暖房代、輸送代は食材の価格に上乗せされるため、旬以外の食材は値段が高くなります。

栄養の面でも旬は大事です。たとえば冬が旬のほうれん草では100gあたり60㎎のビタミンCが摂取できますが、夏になるとその3分の1に減ってしまいます。見た目は一緒であっても栄養にこれだけの差が出るのです。また、育てやすいように遺伝子組み換え技術も進んでいますが、これらの食材を摂取すると、将来人の身体に害があるのかないのかははっきりしていません。やはり、生鮮食品は旬を知って摂取することが大切なのです。

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旬を外れた食材で下痢になりやすくなる?

旬の食材を食べるようにしていない人は下痢をするリスクが高くなる可能性があります。その理由としては旬以外の食材を採ることで、残留農薬や過剰にたまった肥料の成分に腸が反応している可能性があります。腸は身体に合わないものを早く出す作用があります。それで下痢となるのです。下痢のときには栄養の吸収も悪くなります。

また、季節をはずした野菜は価格が高めになるため、量をとりにくいというデメリットもあります。腸内環境を整えてお腹の健康を守るために、1日あたり18~20gとたっぷりの食物繊維をとりたいところですが、野菜が高いとつい買い控えてしまいますね。

春にはみずみずしい緑のアスパラガスやさやえんどう、春夏にんじん、夏にはトマトやナス、ゴーヤなどの実野菜、秋にはきのこ、そして冬は白菜や大根…というように、季節を意識することでしっかりと野菜を取りやすくなります。

また、腸内環境を整える水溶性食物繊維が豊富に含まれるフルーツは、季節によって食べる量が異なるという調査があります。フルーツを食べる量を季節で比較すると、日本では冬の12月にみかんやいちごを多く食べていますが、夏には少なく、9月にはもっとも少なくなるといいます。こうした差を意識すると、夏~秋が旬のブルーベリーやパイナップル、プラムやブドウ、ナシなどを食べるきっかけになりますね。

このように、旬の食材を意識することは安くて栄養価が高く、安全な食事をするうえで重要なことなのです。

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<参考文献>
■Academy of Nutrition and Dietetics
『Discover the Health Benefits of Produce』

■日本栄養・食糧学会誌
『野菜・果物からのポリフェノール摂取量の季節差に関する検討』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

1年を通じて、旬の食材を食べるようにしていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが2.48倍になります。

A: 1年を通じて、旬の食材を食べるようにしていますか?
B: 週に1回以上、下痢になりますか?

A
はい いいえ
68.9%
213人
31.1%
96人
B
はい いいえ はい いいえ
7.77%
24人
61.17%
189人
7.44%
23人
23.62%
73人
Z検定値 2.87
オッズ比 2.48
信頼度 99.5%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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