解説

「眠りにつくまでに時間がかかる」「眠れてもすぐに目が覚めてしまう…」といった不眠の悩み。昼間には疲れや強い眠気を感じることもあって、困っている人も少なくないと思います。こんな、「眠りたくてもぐっすり眠れない」という症状はなぜ起こるのでしょうか。
ストレスを受け続けている人は、それに対処しようとしてストレスホルモンが分泌されています。このストレスホルモンの分泌量が増えると、身体は危険に備えるためにずっと緊張状態を保とうとして、“過覚醒”という状態になることがあります。これが、不眠の原因になります。
つまり、不眠を解消するには、身体の緊張をほぐして「もうストレスはなくなったよ」と教えてあげることが大切というわけですね。
身体の緊張をほぐすためにする簡単な方法は、1日に10分間、腹をかかえて笑うこと。誰でも簡単にできる行動ですが、難病の痛みでなかなか眠れなかった人がこれを習慣的に行ったところ、ぐっすりと眠れたのだそうです。
「なかなか笑えるような面白いものがない」という場合には、インターネットでおもしろ画像を集めてみるのがおすすめです。
また、そのおもしろ画像を家族や友達とSNSでシェアしあうのもよいこと。自分では気づかなかった笑いのタネをもらって、笑いの幅が広がります。きっとおもしろいと感じるものを見つけることができますよ。

なぜ?疲れているのに、眠れない…
夜、ふとんに入っても眠りにつくまでに時間がかかったり、眠れてもすぐに目覚めてしまってよく眠れた感じがしない…。こんな症状に悩まされていませんか?
夜にしっかり眠れていないと、昼間に疲れや強い眠気を感じてしまうことも。仕事や勉強もうまくいきませんよね。このような不眠の悩み、実はストレスが原因かもしれません。
人が身体にストレスを受けたとき、それに対処しようとして、ストレスホルモンを分泌します。ストレスホルモンが分泌されると、身体は非常事態に備えた「緊張状態」へと切り替わっていきます。
ストレスは、身体に何か「危ないことがあるよ」と教えてくれるサインなので、この反応はいざというときのために必要なこと。ですが、何かのはずみでストレスがなくなったのに、この緊張状態が続いてしまうことがあります。これを“過覚醒”といい、この状態が続くと不眠の悩みを引き起こす原因となってしまうことがあるんです。
身体が過覚醒の状態になってしまうと、不眠だけでなく、イライラしたり疲れを感じやすくなったり、ちょっとしたことに極端に反応してしまいます。そして、不眠の状態が長期間続くと、身体にマイナスの影響がたまってしまい、血糖値や血圧が上がったり、年齢を重ねてから認知症のリスクを高めてしまったりという影響もあるのです。長い間少しずつ借金のように悪影響がたまることからこれを“睡眠負債”と呼んだりもします。ですから、どうにかしてこの過覚醒の状態を解消したいものですね。
そこで、昼間に積極的に笑うこと。
これが、過覚醒の状態から身体を正常に戻す、つまり、身体の緊張をほぐすためには必要なことなのです。大爆笑しなくても、クスッと笑うことでも、どちらでもいいんですよ。

1日10分間、積極的に笑う習慣を
笑いは不眠解消に本当に効果があるのでしょうか?積極的に笑うことを習慣にして、実際に不眠を解消した例をご紹介しましょう。
アメリカの有名なジャーナリストのノーマン・カズンズ氏は、「500人に1人しか治らない」といわれる難病にかかっていました。この難病は痛みをともなうので、夜は眠りたくてもぐっすりと眠れなかったといいます。しかし、1日に10分間、腹を抱えて笑うことを習慣にしたところ、少なくとも2時間ぐっすり眠れるようになったそうです。
「眠りにつけるように笑いを、といわれても面白いことがなければ笑えないし…」と思われるかもしれません。
でも大丈夫。人は勉強や運動の仕方を学習できるように、「面白いことで笑う」やり方も学んで、もっとさまざまなことを楽しめるようになるのです。
まずは、面白がれる、笑えるものを増やすことが重要です。おもしろ画像でも、ギャグ漫画でもよいので、少しずつ集めてみましょう。自宅やオフィスなどといった身近な場所におき、「笑いが必要だ」と思ったらそれらを見て楽しむことで、笑いの幅が広がります。
インターネットで面白いネタを探すのもよいでしょう。さらに、見つけた面白いネタは、SNSで家族や友達とシェアすることも大切です。家族や友達とシェアしあうことで、お互いが気づかなかったネタがもっと入ってくることになるからです。
また、コメディ映画やコメディドラマなどをあまり観てこなかった人は、一歩踏み出して手にとってみましょう。最初は、なんだか無理して笑っているような気がするかもしれません。でも、だんだん笑えるようになり、リラックスできるようになってきます。そうなるころには、身体の緊張はほぐれ、不眠の悩みもすっかり解消されているはずですよ。

<参考文献>
■ノーマン・カズンズ著 岩波書店
『笑いと治癒力』
■リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース
『日中の過度の眠気と肥満やうつとの関わり』
■メイヨー・クリニック
『Stress relief from laughter? It's no joke』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
よく笑う生活をおくっていない人は、不眠で悩むリスクが2.11倍になります。
A: よく笑う生活をおくっていますか?
B: 不眠の悩みはありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
58.6%
383人 |
41.4%
271人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
12.84%
84人 |
45.72%
299人 |
15.44%
101人 |
25.99%
170人 |
Z検定値 | 4.29 |
---|---|
オッズ比 | 2.11 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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